【リーフィアタワー海老名 アクロスコート】三井健太レポート抜粋版 Vol.48

マンションアドバイザー三井健太氏が、ご依頼を元に毎回作成される「三井健太の(新築・中古)マンションレポート」。受け取った方の大半が「想像以上・期待を超えた」と感動されるこのレポートは、個人に宛てたものということで長らくネット上には公開されていませんでした。ここではその貴重なアーカイブのなかから個人宛て部分やその他ご依頼者から送られた価格表、間取り図などを削除した抜粋版を特別に公開しています。30年余の研究と業界ウォッチング、そしてマンション愛あふれる三井健太氏ならではの客観的かつ具体的、誠実な助言のエッセンスをご覧ください。

三井健太のマンション評価レポート(抜粋版)・【リーフィアタワー海老名 アクロスコート】編

※三井健太のマンションマンションレポートについて

建物の評価ポイント

※レポートの評価ポイント解説・ポイント表は本レポート抜粋では割愛させていただきます。

総合点 77点(最高100点)

中の下:58以下(★★☆)/中の中:59~65(★★★)/中の上:66~72(★★★☆)/上の下:73~78(★★★★)/上の中:79~85(★★★★☆)/上の上:86以上(★★★★★)

三井健太の総合評価

リセールバリュー格付け:C

AA:最も高いリセール価値が期待される。A:比較的高いリセール価値が期待できる。B:あまり高いリセール価値は期待できない。C:リセール価値が低くなる恐れがある。D:リセール価値が著しく劣る覚悟がいる。

建物評価:

建物の評点77は上の下、5段階評価では★★★★となります。これに立地条件の評価が加味されてマンションのトータル価値となります。

建物評点(立地評価は含まない)は大型物件らしく高い評点となりました。大型マンションは付加価値がいくつも生まれるもので、この採点方式では高く点が出るのです。10点満点にしたい項目も5点を最高にしているので、ときどき実質が正しく反映されないことがあります。重点項目を加重して行くと1ランク上がったり、反対に下がってしまったりすることもあります。

本物件は、点数以上の評価にはならず、むしろ幾分か下になる印象も受けます。(駐車場からマンションのエントランスまでに屋根がないこと、室内の設備が物足りないことなど)とはいえ、大きな欠点はなく十分満足すべきレベルの建物と言って良いかもしれません。

間取り寸評:

個人情報の特定につながるおそれがありますので省略させていただきます。

立地評価:

マンションの価値を大きく左右するのは立地条件ですが、本物件の弱点は「海老名」という街の魅力度です。神奈川県民が選ぶ人気投票では最近高いランク付けになっていますが、東京都心(副都心・新宿)にも、横浜都心にも距離がかなりあるというポジションは、マクロに見ると資産価値としての高評価はつけにくいのです。最近4~5年の価格上昇トレンドとは無縁のような海老名の安定価格は、高かったら売れないという地域であることがデベロッパー各社の共通認識になっているためです。

本来、駅前のタワーで存在感があり、かつ建物の品質もこれだけ高ければ、過去の物件のどれに比べても20%以上高くて不思議ではないのです。例えばグレーシアタワーズ海老名は丁度2割高でした。本物件の価格はそれより高い3割高になっています。この差はどこから来るのでしょうか?駅からの距離も同じようなもの、駅周辺の施設を利用できる点でも互角とは言えないでしょうか?小田急不動産が計画する各施設を独占的に使えるわけではないのです。街の発展のメリットは双方に平等に与えられていると言えます。グレーシアは単体開発(ツインタワーを建てるだけ)、こちらはオフィスビルと商業施設を含めた総合開発、マンションも後に3本追加されるというスケールがありますが、それは売り手の独りよがりのようなものです。

仮に徒歩で2分くらい近いとし、施設の使い勝手が近い将来は格段上になって行くとし、それを見込んでの価格だとするなら、将来性を織り込んだ「先取り価格」ということになるのです。

類似の発展を見せて来たのが「豊洲」や「武蔵小杉」で、豊洲は10年間で人口が3倍になりました。武蔵小杉も単独データはありませんが、川崎市中原区としては、再開発が始まった約10年前から毎年1000人から5000人超の勢いで人口が増加。川崎7区の人口順位で2005年から1位を続け、15年の国勢調査では10年と比べた人口増加率が5.8%と県内市区別で1位だったとあります。平成17年から27年間に中原区は21万人から25万人と4万人も増えています。海老名市は、同期間で6000人増えただけなのです。桁が違いますね。

武蔵小杉も豊洲も短期間に大量のマンション開発が進み、並行して「グランツリー(武蔵小杉)」や「ららぽーと豊洲」をはじめとするショッピングモールが出店して魅力を増し、それが更なるマンション開発を促すという好循環をもたらしたのですが、その発展に連れて価格もうなぎ上りとなりました。それでも人気は衰えず、新たな人口流入をもたらしたのです。二つの街の強みは東京都心に近いことです。武蔵小杉はJRなら東京駅も新宿駅も20分程度で到達しますし、豊洲は交通手段が地震や事故で利用できなくなったとしても帰宅難民にならないですむ絶対距離の近さ(東京駅から5km)にあるからです。

神奈川県民の県内通勤者も無論あるわけですが、東京通勤者が多いことは、朝の東京方面行きの電車の混雑が証明しています。県民で東京都区内に勤務する人の大多数が遠距離通勤を望んでいません。

本物件を含む大規模開発は、街の将来性に期待し、遠距離通勤をしばらく我慢したら資産価値が上がって将来は都心に近いエリアのマンションに買い替えられるかも、と考える人も多いのでしょうし、二つの物件が互いに競争しつつ、一定の人気を博して時間をかけずに完売できるかもしれません。しかし、海老名は横浜市でも川崎市でも、また東京都でもないのです。

「ららぽーと海老名」もあって、何やら豊洲に似ているようにも思えますが、武蔵小杉や豊洲のように発展する可能性は土地面積の狭さを考えると遠く及ばないのです。武蔵小杉に既に建っているタワーマンションの数だけでも20本くらいありますが、海老名では小田急不動産が計画しているタワーを含めても6本か7本です。つまり、海老名の将来性は身びいきで期待してしまいがちの人も多いと推察しますが、ポテンシャルは小さいと言わざるを得ません。

以上の意味から、海老名でマンションを購入するに当たっては、地域一、二を争う物件であり、物件内でも価値あるものを選択することが必須です。その点、本物件もグレーシアも合格点にあると言えます。しかし、地域の購買力は総じて低い地域なので、中古マンションが豊洲や武蔵小杉のように、あるいは「みなとみらい」や東京都心のように高値を期待することは無理があるのです。

地域内競争という意味から、次の視点で本物件を見たとき、どのような印象になるでしょうか?
① 差別化された(明確な差別感がある)物件であるか?
② 感動を与えてくれる(与え得る)要素がある物件か?
本物件は、グレーシアタワーズ海老名との比較に限れば決定的なものはありません。むしろ、価格が高いというハンディを負っています。3階で坪単価@242万円、グレーシアは11階で@243万円です。おそらく11階の方が価値は高いはずです。

つまり、二つの比較では本物件は割高(10%は高い)です。割高な買い物をしてしまうと、将来価値に期待を寄せることはできません。どの住戸を選んでも同じです。安い住戸は高い住戸より価値が低いから安いのであって、価値ある住戸が割安に値付けされることはないからです。

リセールバリュー:

マンション購入にあたっては、将来リセールするときの価値を購入時に想定する、若しくは考慮しておくということが大事です。永住するつもりという人も、いつなんどき、売却の必要が生じるか分からないからです。そのとき、できるだけスムーズに、かつ高く売りたいと考えるのが普通の感覚であり、少しでも価値の保存ができる物件を望まない人はいません。

将来価値(リセールバリュー:RV)を決定する要素は、①立地条件(利便性と環境)、②スケール(存在感)、③外観・玄関・空間デザイン、④建物プラン(共用施設、間取り、内装や設備など)、⑤ブランド、⑥管理体制です。この中で一番比重が高いのは①の立地条件なのです。立地さえ良ければ建物は何でもいいという単純なものではないのですが、大きな要素であることは確かです。逆に、どんなに素晴らしい建物でも立地条件の弱点を補うことはできません。また、稀少価値の高い土地かどうかの観点で検討することも大事です。そして最も大事な要素は「価格」です。価値に見合わない高値で購入(高値掴み)すれば、将来価格は期待外れになるからです。

本物件をこの条件に照らすと、建物分野の②~⑥は「高い」レベルにありますし、問題はほぼないと言って過言ではありません。立地条件の①も、ミクロに見れば最高に近い物件といえます。しかし、グレーシアタワーも同様ですし、今後新たに建設されるタワーと比べて圧倒的に優位にあるかといえば、そう変わらないわけです。肝腎の価格も、開発初期(何もない不便な段階で購入者にもたらされる格安のメリット(つまり先行者利益)があるわけでもありません。

以上の考察から、本物件のRV格付けは、「C」とさせて頂きました。現地調査抜きの簡易評価ですので、ラフな点はご賢察・ご容赦願います。「C」とは、地域の平均的な価格維持率(=購入価格からの変動率。詳細は割愛)のキープは困難という意味になります。

教えて三井先生

駅に近くて優良な物件と思うのですが、評価は辛いですね。
マンションの価値をマクロに見た場合と、狭い地域の中でミクロに見た場合で印象が変わるのでしょう。海老名市は、郊外都市ですから、市場は狭いと見るのが一般的です。東京通勤者には遠すぎて関心を持つ人は少ないはずです。ところが、地元住民や沿線の主な都市、厚木や座間、大和、相模原といった街に職場を持つ人達から見れば魅力あるマンションということになるでしょう。

建築・販売概要

◆マンション名/リーフィアタワー海老名 アクロスコート
◆所在地/海老名市めぐみ町512番11((登記地番)
◆用途地域/商業地域
◆交通/小田急小田原線 「海老名」駅 徒歩3分・相模鉄道本線 「海老名」駅 徒歩3分
◆敷地面積/6,038.59㎡
◆建築面積/2,720.23㎡(建蔽率 %)
◆構造/鉄筋コンクリート造
◆階数/地上31階建て
◆総戸数/304戸◆駐車場/172台(56.6%・自走式中心)(月額使用料/円)
◆建物完成予定日/平成31年10月下旬予定
◆売主/小田急不動産・三菱地所レジデンス・小田急電鉄
◆施工会社/三井住友建設株式会社◆管理会社/
◆管理費/15,830円~25,770円(@290円/㎡)・・・第2期 28戸の販売データ(以下、同じ)
◆修繕積立金/5,460円~8,890円(@100円/㎡)
◆修繕積立基金/458,640円~746,760円(84か月分相当)
◆専有面積帯/54.59㎡~88.87㎡
◆間取り/1LDK~4LDK
◆価格帯/3,838万円~7,198万円(平均坪単価 @260万円)・・・グレーシアより10%前後高いようです。小田急の海老名駅に2分近く、高さも6層高いものの、グレーシアはツインタワーの存在感で上ですし、施工会社もグレーシアは鹿島建設なので、三井住友よりはブランド力で優りますから、この差には疑問が残ります。
【西向き】A65A 68.76㎡15階 5000万円台=@240万円 【南向き】15階 5700万円台=@272万円A75C 78.01㎡21階 6400万円台=@271万円/25階 6500万円台=@275万円 【南東角】15階 6300万円台=@272万円/A80B 83.19㎡21階 6800万円台=@270万円/25階 6900万円台=@274万円/A110C 110.90㎡29階 9500万円台=@283万円【東向き】A55A 57.14㎡15階 4300万円台=@248万円/A55C 57.17㎡15階 4500万円台=@247万円
◆検討住戸/省略
◆周辺相場/海老名駅圏の過去3年間の平均=@200万円(3年間安定的 2017年8月発売「パークホームズ海老名フォレストプレミア84戸」徒歩8分=@195万円・2016年10月発売「海老名ザレジデンス412戸」徒歩9分=@200万円・2015年5月発売「グレーシア海老名115戸」徒歩3分=@200万円/「グレーシアタワーズ海老名イースト477戸」=@240万円(推定)
◆販売開始時期/第2期先着順販売
◆評価または調査日/平成30年5月17日

(本エントリの画像出典:リーフィアタワー海老名 アクロスコート公式Webページもしくは配布資料スキャン)
(※本エントリ内の@〇〇〇万円は特別な説明がない限り坪単価を表しています。)

 

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マンションアドバイザー三井健太氏は、ご相談者様のご依頼により、「三井健太のマンションレポート」を作成しています。平均ページ数は28ページ、作成数はのべ2800になります。本マンションレポートアーカイブは、お客様のご依頼事項について秘匿を守りつつ、抜粋版をネット上に公開するものです。このマンション評価書の作成は新築・中古問わず作成しております。

三井健太氏との対面マンション購入相談とFPによる購入可能額判定とライフプランニング作成については、「住まいスタジアム」のご利用をご検討下さい。

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